「うなじや眉毛に脱色を考えている方へ」
最近では、眉毛やうなじの毛を目立たせたくないという理由から、脱色(ブリーチ)を検討する方が増えています。
一見、髪の毛のように色を抜けば目立たなくなると考えるのは自然ですが、実際にはデメリットのほうが大きいため注意が必要です。
この記事では、うなじや眉毛の脱色がなぜおすすめできないのかを医学的観点・肌への安全性・コストパフォーマンスの3つの視点からわかりやすく解説します。
1. 脱色(ブリーチ)とは?仕組みと肌への影響
1-1. 脱色とブリーチは同義
脱色とは一般的にブリーチ(英:bleach)=漂白を意味し、髪の毛や体毛のメラニン色素を分解して色を抜く処理を指します。
1-2. ブリーチの仕組み
以下は、ブリーチ(脱色)が色を抜くメカニズムの一例です。
【ブリーチの基本構造】
- 1剤:アルカリ剤→キューティクルを開く
- 2剤:過酸化水素水→メラニンを分解
この2剤を混ぜて毛に塗布し、黒~赤黄系のメラニン色素を分解することで脱色します。
1-3. 使用される薬剤と肌へのリスク
脱色剤には以下のような刺激性の高い薬品が含まれます:
成分名 | 主な用途 | 肌への影響 |
---|---|---|
過酸化水素水 | 殺菌・漂白 | 炎症・アレルギー反応を起こす可能性 |
アンモニア | 冷却材・洗浄剤など | 強い刺激臭・皮膚の炎症リスク |

これらの薬品が肌に直接触れることで「低温やけど」を起こし赤み、湿疹、水ぶくれ、かゆみ、カサブタ、抜け毛などの副作用を引き起こす可能性があります。
2. うなじと眉毛にブリーチが向いていない理由
2-1. うなじ:密度が低く、薬剤が肌に直接触れやすい
うなじの毛は髪の毛よりも薄く、密集度が低いため、薬剤が地肌に直に触れやすい構造です。これにより、肌へのダメージが大きくなるリスクが高まります。
2-2. 眉毛:毛が短く、肌に垂れやすい
眉毛は毛が短く、根本が肌に近いため、塗布した薬剤が皮膚に垂れて付着しやすいです。また、目元という敏感な部位であることから、まぶたに薬剤が触れると皮膚トラブルだけでなく、目への刺激や炎症のリスクも考えられます。
3. 脱色によるメリット・デメリットの比較
部位 | 脱色のメリット | 脱色のデメリット |
うなじ | 毛が目立たなくなる | 肌に直接薬剤が触れやすい/定期メンテ必須/コスト高 |
眉毛 | 化粧時短/印象が変わる | 肌荒れ・炎症リスク/定期メンテ必須/まぶたのたるみリスク |
髪の毛 | イメージチェンジ | 頭皮刺激/髪の傷み/定期的なリタッチが必要 |
💡 注目ポイント:眉毛の脱色を繰り返すと、まぶたの皮膚がたるむ原因となり、老け顔につながる可能性もあります。
4. うなじ・眉毛はどうするのが正解?代替手段を紹介
4-1. うなじの「脱色」より「脱毛」を選ぶべき理由
うなじの毛が気になるなら、一時的に色を抜くより永久脱毛が圧倒的におすすめです。
✅ 脱毛のメリット
- 肌に薬剤を塗布しないため安全
- 一度処理すれば再処理が不要
- トータルコストが抑えられる
【参考】うなじの医療脱毛相場:5回コースで約20,000〜30,000円
4-2. 眉毛は「脱色」より「眉マスカラ」などのメイクで対応
眉毛を明るく見せたい場合は、メイク用品で調整するのがベストです。
✅ メイクでの対応メリット
- 肌ダメージなし
- 仕上がりの微調整が可能
- 気分や髪色に合わせて色を変えられる
💡 脱色は1〜2ヶ月に1回のメンテが必要。眉マスカラなら毎日簡単に色変更が可能です。
また眉毛脱毛で整える方法もおすすめです。
眉毛脱毛について知りたい方は、こちらの記事で紹介しています。


5. 髪の毛だけはブリーチが「仕方ない」理由
髪の毛を明るくしたい場合は、ブリーチ以外に方法がないのが現状です。ヘアカラーだけでは希望の色に染まりにくく、一度ブリーチした方が綺麗に発色し、結果的に髪のダメージを抑えられるケースもあります。



過度な頻度でのブリーチは髪の毛・頭皮のダメージを蓄積させるため、回数と期間には注意が必要です。
【まとめ】うなじ・眉毛の脱色は避け、肌に優しい選択を
- うなじ・眉毛は脱色に向かない部位であり、肌トラブルのリスクが高い
- うなじは脱毛、眉毛はメイクで対応するのが最も安全かつ自然
- 髪の毛のブリーチは仕方ないが、頻度管理が重要
無理に薬剤を使うのではなく、肌に優しい・継続できる方法を選びましょう。
医学出版:美容皮膚医学BEAUTY第27号(Vol.4 No.2, 2021)
林美保、古賀俊彦、古賀一雄、ほか : Nd-YAGレーザーの近赤外領域効果について-第1報-日本レーザー医学会誌6 (3) 163-166 1986
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会:日本レーザー医学会誌 31 (1), 53-60, 2009
医政医発第105号:医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて
独立行政法人国民生活センター:なくならない脱毛施術による危害(発表情報)_国民生活センター
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日本皮膚科学会:美容医療診療指針
日本医学脱毛学会:脱毛を考えていらっしゃる患者さんへ